物語マトリクス理論とは?
なぜ、今ビジネスに物語が必要なのか?
分析や論理だけでは人は動きません。ところが、同じデータやロジックでも、それをわくわくする物語に変換した途端に、人々の目の輝きが変わります。
なぜでしょうか?
ヒントは、神話にあります。過去の遺物と思われがちな昔話や神話も、実は今日の映画や小説などの原案として活用され続けています。人々を触発する「不思議な力」が、神話(物語)にぎっしりと詰まっているからです。大昔から物語は、この力で私たち人間を鼓舞し、楽しませ、生きることの大変さを癒し、未来に希望を抱かせてきました。
ブランドは現代の神話
今日、神話の力(物語の不思議な力)を活用しているのは、エンターテインメントの世界だけではありません。
梅本龍夫は、スターバックスの日本での立上げプロジェクトを通して、ブランドとは現代の神話だという洞察を得ました。古代ギリシアの英雄のように、コーヒー文化の素晴らしさに目覚めた現代の若者も、新しい世界を切り開く冒険の旅に出発していきます。そしてスターバックス物語の登場人物のひとりとして、笑顔で「こんにちは!」と目の前のあなたに語りかけるのです。
物語マトリクス理論は、梅本龍夫が物語の「不思議な力に」気づき生み出した、「新しくて、懐かしい」仕掛けです。
物語の力を「見える化」
物語マトリクス理論は、単なるノウハウやツールではありません。
それは私たち人間のマインド(頭脳、知性)とハート(心、感情)とボディ(身体、意志)を駆動する「不思議な力」を自在に引き出すプラットフォーム(装置、仕掛け、仕組み)です。
物語の力を、かつてないほどわかりやすく実践的に「見える化」したものが、物語マトリクス理論です。それは、組織を変容する装置のトリセツ(取り扱い説明書)といえます。そして、この装置は、組織だけでなく、もっと大きな社会課題や、逆により小さな(しかし決定的に大切な)一人ひとりの人生のテーマにも、応用可能です。
私たち人間は、物語なしには生きられません。すぐれた物語は、世界をより良い場所に変えます。欠落した日常に変容をもたらすのが物語です。この不思議な力を引き出す物語マトリクス理論は、経験を積めば誰でも使いこなせます。物語の主人公はあなたです。
物語マトリクス理論の羅針盤
(ストーリーコンパス)
起
自明の世界
物語の《起》は、「欠落(-)の日常」です。それは、かなり居心地がわるい状態なのですが、「これが当たり前」と思い、自分から行動を起こそうとはしません。【自明の世界】とは、無意識的で、眠りの中にいるような状態です。何かがおかしい、これではいけない!と気づいた者が立ち上がります。勇気を出して行動したとき、新しい物語がはじまります。
承
混沌の世界
物語の面白く、そして大変なところは、「欠落(-)の非日常」という、経験や知識が通用しない危険に満ちた世界に踏み込むことです。映画や小説であれば「どうなってしまうのだろう?」とドキドキ、ワクワクする部分ですが、現実にはできれば避けたいと誰しも思う状態。でも、この【混沌の世界】を避けることはできないのです。ここが我慢のしどころ。
転
創発の世界
物語の最大の醍醐味、それは危機を突破し、宝物を得る瞬間です。シンデレラの前に魔法使いがあらわれ、カボチャを馬車に変えるように、混沌とした世界の内側で不思議な力がわき上がり、物語の主人公をポンと【創発の世界】に押し出す瞬間がやってきます。このプロセスこそ、物語マトリクス理論が最大の効果を発揮する瞬間です。
結
秩序の世界
創発の世界はプロトタイプを次々と生み出す場所なので、創造的ですが持続性はありません。【秩序の世界】という充足した日常に創造の種を持ち帰ることが、物語の究極の目的です。物語マトリクス理論をやり遂げた人々は、確実に成長・進化します。そして、新しい付加価値を世に広めていくモノやサービスや仕組みを磨きこみ、社会に繁栄をもたらします。
物語マトリクス理論での組織変容の流れ
iGRAMの「イノベーション創発支援」やその他のシナリオを導入していただくことで、物語マトリクス理論の仕組みを理解し、下記のような組織変容の流れを体感していただくことが可能です。
組織変容プロセス
起
自明の世界
過去の成功体験はもう通用せず、本当は第二創業が必要なのに、会社全体の雰囲気が悪く、安心して仕事ができず、誰も動こうとしない
承
混沌の世界
今までは通用した経験、知識、ノウハウが、ここではまったく役に立たず、愕然とするが、退路は断たれているので、必死に前に進むしかない
転
創発の世界
ばらばらだった組織のベクトルが一致し、部門を超えて協力しあい、プロトタイプがつぎつぎと生まれ、新しいビジネスモデルの可能性が具体化する
結
秩序の世界
創発の環境が構造化され、会社の姿が大きく変容し、イノベーションが継続的に生まれ、未来に向けて自律的に成長・進化していく